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2009年04月28日

「耳をすませば」-「バロン」をめぐる伏線

耳すま.jpg

先日、調査で聖蹟桜ヶ丘に行ったのだが、そこで同町がアニメ映画「耳をすませば」のモデルになった旨の案内板が立っていた。

「耳をすませば」は、正直まじめにみたことはなかった。
昨年、日本テレビで放送しているのを録画しておいたのだが、残念ながら見ないまま削除してしまった。
私にとっては、NHKスペシャルを録画するハードディスクを確保する方が、「耳すま」よりも大事だったからである。

消したとはいえ、一度録画したのは、「多摩探検隊」をやっている以上、多摩を舞台にした映画を見ておこうかと思ったからである。

さて、今回、実際に聖蹟桜ヶ丘に用事で行ったことで、思い切ってみることにした。漫画「りぼん」に連載されたものが原作らしい。宮崎駿が、山小屋で読んで感動したのがきっかけになったという。

感想はというと・・・。
まあ、中学生の淡い恋と、自分の将来の進路に迷うという青春らしさが、この映画のテーマでしょうか。時代は変わっても、中学生たちには、さわやかさとともに夢と希望を与えてくれる映画かもしれない。

ただ、この映画には、伏線がある。それがネコの人形「バロン」の物語だ。
この点に触れているブログはあまりないので、私が書いておきたい。

主人公の女子中学生・雫(しずく)が出会った少年のお爺さんが営む骨董品屋というか骨董修理屋さんには、ネコの人形「バロン」が置いてあった。その「バロン」にまつわる物語だ。
バロンには対になっている女のネコの人形があった話。そして、お爺さんのドイツ留学時代の恋人の話。この2つの話が錯綜して物語を描きあげる。

お爺さん(当時は青年)がドイツのある町で、バロンの人形を見つけ、これがほしいと言うと、店主は「このバロンには女の連れがいる。一緒じゃないと売れない。その人形はいま修理に出してある」という。お爺さんの当時の彼女が、「連れの人形が修理から戻ってきたら、私が引き取りに行くわ」と約束する。そして、お爺さんはドイツを後にして、ドイツに残る彼女と別れ別れになるのだ。

しかし、第2次世界大戦が勃発し、バロンの連れの人形も彼女も行方不明になる。お爺さんは、戦後にドイツに渡り探し回るが、結局、どちらも見つからないのだ。残ったのは、バロンの人形とお爺さんだけだった。

この戦争による悲しい恋物語があるからこそ、このさわやかな中学生同士の恋物語は輝いているのだろう。

この「耳すま」には、熱狂的なファンがたくさんいることをネットで知った。
なかには、ジブリ作品のベスト1に上げている人もいる。

ただ、私は、イタリアにバイオリンの職人修行に旅立つ青年と小説家を目指す少女の恋のさわやかさと感動は、この「バロン」をめぐる戦争と悲恋という伏線があるからこそ、際立って心に迫ってくるのだろうと思う。

「命短し、恋せよ乙女」だろうか。

お爺さんの青春時代の恋を、もう少し多く描いてほしかったような気もする。
森鴎外の「舞姫」を少しだけ思い出した。

最後に、映画に登場する太ったネコは、やはり良い意味でキャッチになっている。
ムーン、おたま、ブタと、さまざまな名前で呼ばれているところも、おもしろかった。

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投稿者 matsuno : 2009年04月28日 21:41