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2009年04月20日
沖縄伊江島二度目の戦争

「シマが基地になった日-沖縄伊江島二度目の戦争」(金の星社)、真鍋和子著。
厚生省中央児童福祉審議会推薦、第47回産経児童出版文化賞受賞。
これは、小学生向けの本である。12刷も重ねている。
「新聞ブログキャラバン」で愛知県の小学校に行ったとき、たまたま図書館の机の上においてあったのを見つけた。このときに、沖縄の基地問題が、小学校向けの書籍になるのか?と驚いた。そんな難しくハードなテーマをどうやって小学生向けに落とし込むことができるのか、大変興味をもった。
沖縄については、高校時代以来、こよなく興味を持ち続けている者としては、読まずにはいられなかった。
伊江島の阿波根昌鴻さんの戦いについては、新聞記者時代に岩波新書を読んで知っていたが、すっかり内容を忘れていた。それで、今回、この書籍を読んで、以前よりも、もっと強く感動した。そして、今回は、沖縄の農民の戦いという事実もさることならが、米軍や琉球政府、日本政府を相手に戦った阿波根さんの精神性そのものに感銘を受けた。
「大学教授にもなって、小学生向けの書籍を読んで感動するな!もっと難しい本を読め」と怒られるかもしれないが、小学生の書籍であるがゆえに感動したのだろうと思う。それだけ、簡潔にわかりやすくまとめられていて、大人が読んでも良い本だと思う。
貧しくても学業への熱い思いを忘れなかったこと、キューバやペルーでの移民生活、無教会主義の洗礼、非暴力反戦運動、沖縄戦ですべてを失い、戦後、せっかく開拓した畑も米軍に収用され、「乞食行進」を展開して自分たちの農地をすこしずつ戻してきた経緯。その歴史的な運動は、反戦だけでなく、生きること、大地や自然と人間の根幹についても、教えられることは多い。
私が今回、特に感銘した点は、2つほどある。
1つは、一人息子を沖縄地上戦でなくしたこと。そして、ガマの中で出会った幼い姉妹を「親をなくした子どもは、わたしたちの子ども」と夫婦で引き取っこと。
もう1つは、戦後に土地を接収した米軍政府に対して「陳情規定」を設けたこと。その中に、非暴力が貫かれていること。「耳より上に手をあげないこと「けっして短気をおこしたり、相手の悪口は言わないこと」「愛情をもって道理をつくし、幼な子を教えみちびいてゆく態度で、話し合うこと」などがあげられている。
学者のように平和論や反戦論を難しく抽象的言説で展開するのではなく、「あらゆるものに宿る命を大切にする」という素朴な基本から発している。
ある意味、沖縄のガンジーのような存在だったのだろうと思う。
なぜ、絶望的な状況の中で、最後まで世界平和の夢をわすれずに戦い生き続け、多くの人に感動を与え続けられたのか。この人の精神性はどうやって育まれたのかについて、知りたいと思った。
伊江島のある1人の平和運動家として紹介されることが多いが、私は、彼の生きる哲学にこそこれだけの途方もない運動の力の源があるのではないかと思った。
投稿者 matsuno : 2009年04月20日 21:32