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2009年02月09日
深呼吸の必要

D社のK氏から、「仕事でいらいらしている時に、見ると良い映画」というお勧めをもらったので、さっそく見た。というより、長い間、放置していたDVDを、この時期に見たといったほうがいい。
まあ、映画としてはB級。ビッグになる前の長澤まさみが出ているのが話題。
ただ、物語としては、ウォーターボーイズ、スイングガールズに似ている展開でもあり、一気にみることができる。
「きび刈り隊」というのは、サトウキビの収穫のときに、内地からアルバイトというか期間労働者として応援にくる人たちのことを言う。北海道の昆布干しとか牧場のバイトと同じで、われわれが大学生の時にはみな行っていた。ただ、サトウキビ刈りだけは、知らなかった。
この映画では、7万本のサトウキビを35日間で刈り取らなければならないという設定になっている。その35日間を追った物語。
実際に宮古島と沖永良部島でロケしている。
サトウキビ刈りに参加しているのは内地から来た7人だが、やはり何か過去をもつものばかり。
でも過去は問わないというのがルールだ。
そして、35日間に、たどりつく結論が、「あたしでいいんだ」、である。
全体的に淡々としている。なぜB級かというと、7人の一人ひとりの物語の描き方が表層的なところ。
ただ、それも監督のねらいだったのかもしれないが・・・。
とにかく、淡々と35日間を描き続けるのである。
ネタバレになるので書かないが、それぞれの過去を抱えながら、7万本のキビを刈り取るのである。
その結果、何が見えてきたのか、というところだ。
ラストシーンだけは、うまい!と思った。
さて、話は自分のことになるが、
昔、某テレビ局に勤務していたときに、八重山諸島を取材したことがある。
その時に、ある島に長期間滞在していたのだが、やはり同じようなグループと一緒になったことがある。
女の子たちはみな、勤務していた会社を辞め、退職金をもらって島に来たという。
お世話をしていた男性は関西弁。民宿のヘルパーをしているうちに、島に住み着いたという。
ほかにも、いろいろな人がいた。
うつ病にかかったサラリーマン。
離婚した女性。
生き方がわからないなくなったというOL。
大学を中退して専門学校に通い始めたという女性。
自殺しようと思ってきたが、なぜかできなかったOL。
あとは、この映画でも指摘される司法試験、公認会計士、医学部受験などの失敗組もいた。
しかし、南の島で、人は生きている。
東京で一旗あげようという野心とはまったく別のところで、人は生きているのだ。
ある島で、わらべ歌を撮影するためにオバアたちに集まってもらったら、
90歳で自転車で駆けつけてくれた人もいた。
子どもたちも一緒に撮影をするとき、がけから飛び降りるシーンがあった。
撮影前に、あるオバアが、御獄で「みんながけがしないようにねー」とお祈りをしてくれた。
それを撮影しようとしたら、ダメと断られた。
シーンと静まりかえり、ガジュマルの木の葉が風に擦れる音だけがしていた。
そこに、お祈りの声が荘厳に聞こえる。
子どもたちもおしゃべりせずに静かにしていた。
カメラマンを横目でそっと見たら、目を真っ赤にして泣きそうだった。
何が心の琴線に触れたのかわからない。
それを見て、私もうるうるきた。
なぜかわからない。
ただ、生きているという実感があった。
映画のメッセージである「あたしでいいんだ」と同じものを感じた。
いつわりのない自分。
なにもかざらなくていい自分。
ただ、存在している自分。
自然の中の一生命体でいい自分。
なんとか飯は食える自分。
生きていることだけで幸せを感じることができる。
そこはかとない、島の持つ力を感じることができる。
だから、人は病んだら南の島へいくのだろうか。
その島に滞在中に、毎晩、夜空を見上げた。
星雲を肉眼でみることができた。
生きていて良かったとおもった。
映画はB級だが、やはり南の島に行きたくさせる映画である。
主役の香里奈は、演技力やインパクトでは今ひとつだが、雰囲気は映画によく合っている。
こういう映画もありかなと思ったりする。
疲れた時には、よい映画かもしれない。
投稿者 matsuno : 2009年02月09日 22:15