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2008年10月14日
キューバのこと
「モーターサイクルダイアリーズ」という映画があるのだが、もう何回見ただろうか。
キューバ革命のカリスマといわれるチェ・ゲバラ。彼は医学生だった時代に南米をバイクで縦断する。そして、権力による収奪と貧困、病人を見ながら、彼が精神的に成長していく過程を描いた作品である。
この映画は、大して派手なアクションもなければ銃撃戦もない。はらはらうきうきする恋愛ものでもない。
淡々としたロードムービーである。しかし、映像の底辺に流れる若者の純粋な熱い思いを感じることができる。それがあるから、最後まで見続けることができるのだろう。描き方もドキュメンタリータッチだ。

「チェ・ゲバラは、なぜ革命家になったのか」、という問いの答えが、この映画の中にある。キューバ革命の後に、彼は再び革命家として南米のゲリラとなるが、最後はCIAに射殺される。
このチェ・ゲバラには、社会主義者や共産主義者じゃなくても、ファンが多い。それは彼が、弱い者、少数者、病人などの味方であり、貧困を作り出す収奪システムを改革しようとした純粋な思いをもっていたからであろう。それと、あのかっこよい風貌にもカリスマ性があるのだろう。
もう1つ、この映画から見えてくるのは、「帝国主義」とは何かということである。武器や火薬を発明し大量生産した強い国、産業革命をいち早く成し遂げ経済発展した国、はおのずから“未開の地”へ進出していく。そして、原住民を追い出したり、土地を奪ったり、町を征服したりする。元々あった文化は根こそぎ破壊しつくす。
そして、植民地化されて、大規模なモノカルチャー的収奪が行われる。原住民は、みな政治的、軍事的、経済的に従属させられていく。やはり、強い者は弱い者を支配するのである。中南米においては、昔はスペイン、今は米国だと考える人もいるだろう。日本も明治維新以降、富国強兵政策で発展したものの、中国を植民地化しようとして逆に欧米の反感を買い経済封鎖されて悲惨な戦争に突入していった歴史がある。
では、帝国主義ではない方法とは何だろうか。そこが大事なところだ。そして、弱い者、少数者、貧困者に温かい社会、文化を大事にする政策とは何だろうか。平和で貧困のない民主的な世界を作るにはどうしたらよいのだろうか。
貧困が蔓延し、貧富の差が拡大すれば、必ず社会主義や共産主義的な要素を求める声が大きくなる。
昨今、中南米で反米政権や社会主義政権が次々と誕生している現実を見ると、グローバル化というのは新しい形の米国帝国主義だと人々が感じているのではないかと思ったりもする。
ソ連が崩壊した時、私もキューバに取材に行った。ガソリンが入ってこなくなり、町には中国から輸入された自転車があふれていた。通訳をしてくれた若者にチップを渡すと、彼はその金を、老人に渡していた。
それを見て、この国は米国から経済封鎖されて貧しいが、温かさがあるとを感じた。
サトウキビ畑に夕日が沈むころ、皆といっしょにトラックに乗って、首都ハバナまで帰った。
そのときに、彼らが歌っていた歌のメロディが、今でも心に残っている。
投稿者 matsuno : 2008年10月14日 12:41