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2008年04月10日
映画「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」
あさま山荘事件に関連する映画として、警察側の視点で描かれた映画「突入せよ! あさま山荘事件(2002)」がある。
この映画は、どーも佐々淳行の自慢話になっているし、役所広司が演じていてなんとなく違和感があった。
ただし、この映画の面白いところは、警察という組織体、警察庁という組織体の実情がわかるところである。警視庁機動隊の2機と9機、さらには長野県警との確執。それに後藤田長官の考え方などが、わかる。
この事件は、多くの学生が「総括」という名のリンチで死亡しているし、警察官も殉職している。その後の赤軍派が起こした世界的なテロの数から言っても、当然、連合赤軍側からの視点、当時の学生紛争当事者の視点で描かれた映画がみたかった。
そして、若松孝二監督の映画「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」が封切られた。なかなか見にいけなかったが、やっと見た。
すさまじかった。
私が小学校、中学校のときに学生運動はピークだった。
東大安田講堂の闘争、よど号ハイジャック事件、そして「あさま山荘」事件・・・。テレビに釘付けになった。生中継というテレビの威力がいかんなく発揮された。
その中でも、「あさま山荘」事件は、実際に銃で打つという事件が生中継されてお茶の間に届けられた。これは、テレビの歴史でも初めてのことだった。事件当時のVTRを見ると、実況中継しているアナウンサーもそういうテレビメディアの威力とともに悲劇的なメディアの現実を語っている。テレビ放送史上最高の視聴率(NHKで89.7%)を記録している。
この映画「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」を見て、初めて事件のバックグラウンドがわかったような気がする。
当時の三派全学連、ブント、そして、赤軍派の誕生、革命左派(京浜安保共闘)と「連合赤軍」の結成。
重信房子と永田洋子の2人のキャスティングには、なるほどと思った。
「総括」として、自分で自分の顔が変形するまで殴らされる遠山美枝子を坂井真紀が演じている。この壮絶な場面には、ショックを受けた。当時、流行語にまでなった「総括」とは、こういうことだったのかとあらためて認識した。
また、この「あさま山荘」事件には、加藤3兄弟というのが出てくる。しかし、一番上の兄は「総括」される。2人の弟たちも、兄を殴るのである。一番下の弟は、まだ高校生だった。兄はその後、極寒の中に放置され死亡する。
革命的精神が足らないとか、自らを共産主義化しろとか、反革命的、スターリン主義的という理由で処刑されていく。10人以上が総括の名の下に殺されていく事実は、もはや狂気としか思えない。
あさま山荘から銃を打っていた光景を「革命的」と評していた人たちも、その後に総括の事実が明らかになるにつれて、驚愕と落胆を隠し得なかったのではないだろうか。
この映画を見ると、人間とはなにか、ということを考えざるをえなくなる。
この映画の中には、中央大学も登場する。学生がロックアウトする中央大学内部の様子が描かれている。当時は、中庭が校舎に囲まれていて、比較的安全であり、かつ出撃基地としては格好の場所だったらしい。法学部長室で彼らが議論する場面も出てくる。ある意味、中央大学は、拠点だったようだ。
私は記者時代に、こうした学生紛争時代の問題も取材したのだが、その中で、赤軍派議長の塩見孝也氏に京都大学でインタビューしたときのことが印象に残っている。
彼は、「赤軍派と革命左派がいっしょになって、うまくいくはずがなかった」と、総括事件の原因は「連合」にあったと分析していた。
また、ある赤軍派(よど号ハイジャック犯)が実は国内の町工場で働いていて逮捕された事件、別のメンバーが米国で逮捕された事件も取材した。そして1人が箱崎のバスターミナルで逮捕された事件については、取材中に意外な事実を聞いた。
赤軍派は、重信房子被告がすでに解散宣言を出している。
こうした関連の事件については、多くの書物が出ているが、この若松孝二監督の映画も、この事件だけでなく人間とは何かについて理解を深める上で必見だろうと思う。
投稿者 matsuno : 2008年04月10日 22:00