« ベネディクト・アンダーソン | メイン | 選挙カー »
2007年04月07日
桜の花は色あせたのか・・・

朝、通りがかりに、桜の花をしばらく見ていたら、近所のおばあさんが声をかけてきた。
「最近の桜は、色あせてねぇー。なんだか、白っぽいんだね。昔は、花びらの色が濃かったんだよー」。
私は、そう言われてみれば、確かに昔に比べると白っぽくなったような気がした。酸性雨のせいだろうか、排気ガスのせいだろうか、それとも地球温暖化のせいだろうかと思いをめぐらせてしまった。
しかし、そんなことがあるのだろうか。桜の品種自体が変化したとは思いがたい。単なる気のせいじゃないだろうか。
一応、おばあさんの言葉にうなづいていると、そのおばあさんは、こう続けた。
「昔の軍人さんは、ぱっと咲いて、ぱっと散っていったんだね。みんな若くして死んでしまって・・・」
桜の花を見つめる、すっかり腰の曲がってしまったおばあさん。その後ろ姿を見ていると、きっとこの方の身内にも戦死者がおられるのだろうと推察した。亡くなった方が親なのか兄弟姉妹なのかは聞かなかった。けれど、なんとなく、わかった。
桜の花の色について、思いをはせた。愛する人たちといっしょに見た桜の花の色は、きっと今よりも濃かったのだろうと・・・。
「それじゃ」と言って、その場を離れようとすると、「いってらっしゃい」と声をかけられた。
駅へ向かう道には、昔より白っぽくなったという桜の花びらが、春風に舞っていた。
(松野良一記)
投稿者 matsuno : 2007年04月07日 14:14