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2006年10月09日
「自分のやるべきことをきちっとやる」
NHK プロフェッショナル カメラマン 上田義彦(49)
良く目にする、なんともいえないほんわかしたCMを、この人が撮っていたとは。驚いた。ウーロン茶、とくに黒烏龍茶。そして、某化粧品。
この人の流儀の中にこういうのがあった。
「売ろう売ろうと思わない」
「写真に命を宿らせる」
最近のCGと音楽を使いまくるうるさいCMではなくて、ある意味、この2つの流儀は、オートポイエーシスだなと思った。
「自分を信じる」
これも、そう。
CMの撮影には、とても多くの人が絡むし立ち会う。凄まじい緊張感の中で、最後に自分を信じてシャッターを押せることは素晴らしい。視聴率や商業主義に走ると、最後の自分の中の勝負ができない。つまり、自分を信じることができなくなり、結果的に中途半端な作品で終わってしまう。
彼はまた、女優さんの演技が途切れた瞬間に、自然に体が反応してシャッターを押してしまうという。これもまた、プロの技というものであろう。ドイツ文学者・高橋義孝を撮影するときに、 キッとにらみ合いつづけ、最後に相手が「撮らせてやろう」と表情を緩ませた瞬間を逃さなかったという話には感動した。
最後、中島信也監督との撮影の順番を巡る攻防も、なかなか見せた。こういう静かだがキリキリした攻防の場面を捉えたNHKのカメラマン、ディレクターもなかなかのものである。
写真家 アービング・ペンような写真を撮りたいというスタンスと、広告というスタンス。
その2つのジレンマはどうなっているのか。
最後の言葉は、こうだった。
「自分のやるべきことをきちっとやる。最大限ですね。出し切る。それで、人に迷惑をかけない」
ちなみに、あの黒烏龍茶のCMは、けっこうインパクトあって、コンビニで良く買うようになった。
その撮影の様子が描かれていたが、それはそれは凄まじいものだったんだと、あらためて驚いた。
プロのインパクトのあるCMのお陰で、私はまた今日も、黒烏龍茶を買うことになるだろう。
投稿者 matsuno : 2006年10月09日 21:21