> 印刷用ページ「新聞ブログ」プロジェクト

プロジェクトの概要

 中央大学総合政策学部 松野良一研究室(所在地:東京都八王子市、以下:松野研)とシックス・アパート株式会社(本社:東京都港区 代表取締役:関 信浩、以下:シックス・アパート)は、小学生の情報リテラシー、メディア・リテラシー教育の促進を目的とした『新聞ブログ』を共同で開発しました。これは、写真、記事をブログに入力するだけで新聞風のレイアウトに編集され、Web上で閲覧することができるものです。また、動画も配信することが可能で、印刷すればA3版の新聞にもなります(手配りできます)。
 2007年3月に、沖縄県内の2つの小学校で、この『新聞ブログ』を使った実証実験を行いました。その結果、実験の前後で、小学生たちの「新聞への好意度」「新聞購読意欲」「新聞の必要性の認識」「地域再発見への意欲」「記事執筆の効力感」などが有意に上昇することがわかりました。

新聞ブログとは?

開発のコンセプトは以下の通りです。

  1. 国語の時間、総合学習の時間などで活用できる
  2. 新聞作成の基本である5W1Hに沿って取材した写真と文章を入力できる
  3. 小学生でも入力、アップロードできるブログがベースである
  4. アップロードすると新聞風に自動的にレイアウトされる
  5. 印刷するとA3版の新聞になる(手配り出来る)
  6. 動画も配信できる
  7. 楽しみながら作文能力、情報リテラシーを高めることができる

 技術的には、シックス・アパートが開発、提供する企業向けブログ・ソフトウェア「Movable Type Enterprise Publishing Pack(ムーバブル・タイプ エンタープライズ パブリッシング・パック)」をベースにしています。これにより、学級新聞、学校新聞、あるいは、自分だけの個人新聞、クラブ活動新聞、父母向け学校便りなども、手軽に作れるようになりました。

 このソフトウェアを利用することにより、簡単なコンテンツ入力作業だけで新聞風のデザインが作成可能となります。作成された新聞は、通常のブログと同様にウェブサイトとして閲覧するだけでなく、印刷にも対応しているため、出力して家庭に持ち帰ったり、 学校の掲示板に貼ったりすることも可能です。

実施/作品

 すでに、『新聞ブログ』プロジェクトの一環として2007年3月に、沖縄県の北谷町立浜川小学校および南城市立大里北小学校で実証実験を行い、両校の児童が実際に学校新聞を作成しました。

沖縄県北谷町立 浜川小学校( 奥間千津子 校長、2007年3月1日)

6年3組(担任:稲福盛也教諭)の児童が、8班に分かれて新聞作りに挑戦しました。

写真は、3月1日に北谷町立浜川小学校で行われた実証実験の様子です。

パソコンでの入力印刷されるのが待ち遠しく、プリンターの前に集まる完成した8班分の新聞
  パソコンでの入力(写真左)/ 印刷されるのが待ち遠しく、プリンターの前に集まる(写真中央)/ 完成した8班分の新聞(写真右)

 参加した感想は、「本物の新聞みたいで面白い」「材料を集めると、簡単に文章を書けることがわかった」「嫌いだった作文が、すこし好きになった」「町のいろんなところに行って取材したい」などでした。

児童が書いた『新聞ブログ』体験の感想集
児童が書いた『新聞ブログ』体験の感想集 (写真)

沖縄県南城市立 大里北小学校(真玉橋初子 校長、2007年3月16日)

 南城市立大里北小学校では、写真と記事だけでなく、動画を『新聞ブログ』上で配信する実証実験を行いました。参加したのは大里北小学校放送部(顧問:宮里安英教諭)の6人です。まず、卒業していく6年生のリポート、5年生と4年生が卒業生へのメッセージをカメラの前でリポートしています。サンシン(三味線)の演奏も加え、約3分の動画を完成させました。さらに、6年生が楽しかった思い出について記事をまとめました。5年生と4年生は、大里北小学校を紹介する記事を書きました。
  完成した『新聞ブログ』は、トップ記事に動画がついており、デジタル時代にふさわしいメディアが登場した感じがします。

写真は、3月16日に南城市立大里北小学校で行われた実証実験の様子です。

新聞の作り方講座映像制作の様子印刷された新聞を熱心に読む小学生
 新聞の作り方講座(写真左)/映像制作の様子(写真中央)/印刷された新聞を熱心に読む小学生(写真右)

教育効果

 3月1日に北谷町立浜川小学校で行われた実証実験において、『新聞ブログ』作成実習の前後で、児童の「新聞への好意度」「新聞購読意欲」「新聞の必要性の認識 」「地域再発見への意欲」「記事執筆の効力感」などを質問紙法(5件法)によって測定しました。

 その結果、「新聞への好意度」「新聞購読意欲」「新聞の必要性の認識」は、実習の前と後で、著しく上昇しました(1%水準で有意差あり、t検定、N=36)。 つまり、この『新聞ブログ』実習は、既存の「新聞」メディアに対する認知をポジティブに変化させることがわかりました(図1)。

図1
図1. 「新聞への好意度」 「購読意欲」 「新聞の必要性の認識」 (全て1%水準で有意差あり)

 また、「地域再発見への意欲」についても、実習前後で上昇しました。この『新聞ブログ』作りが、学校や地域への関心度を高める働きを持っていることが明らかになりました(図2)。


図2 .「地域再発見への意欲」 (1%水準で有意差あり)

 さらに、「記事執筆の効力感」についても、実習前後で大きく上昇しました。今回の実習が、文章を書くことや作文に対する抵抗感を減少させ、材料を集めれば長い記事も書けるんだという効力感が増すことがわかりました(図3)。

図3
図3 .「記事執筆の効力感」 (1%水準で有意差あり)

今後

 今回の『新聞ブログ』の開発と実証実験の結果を受けて、松野研とシックス・アパートでは、実際に全国の小学校での『新聞ブログ』利用を支援していく予定です。

 シックス・アパートではCSRの一環として、今後も同様な教育支援を続け、さらに地域情報化などの支援システムとしても活用していただけるようなソフトウェア製品の開発を推進してまいります。

 松野研では今後も、子ども、学生、市民が簡単に使用できる新しいメディア・ツールのコンセプト作りと開発を継続していく予定です。

プレスリリース(2007年3月29日発表)

中央大学 松野良一研究室について (http://www.matsuno-lab.com

 子ども、学生、市民によるメディア表現活動を研究対象にすると同時に、技術的なサポートを行っています。ゼミ生が制作する地域再発見番組「多摩探検隊」(www.tamatan.tv)は、多摩地区のCATV5局でレギュラー放送されるとともにWeb上でも配信されています。同番組は、ポッドキャスティングアワード2006で最優秀賞、「地方の時代」映像祭奨励賞などを受賞しています。また、小中学生による番組制作・放送をサポートするプロジェクト「子ども放送局」を、東京都昭島市、福井県高浜町などで行い、完成した作品はCATVで放送されたり、地元で上映会が開催されています。子どもたちのメディア・リテラシーだけでなく社会性やコミュニケーション能力の向上、さらに地域再発見や地域活性化にも役立つことを統計学的手法で明らかにしています。 さらに、市民によるパブリック・アクセスの支援も行い、調布市民放送局(www.annie.ne.jp/~catch/)の立ち上げ、運営にも協力しています。

シックス・アパート株式会社について (http://www.sixapart.jp

 シックス・アパート株式会社は、米シックス・アパート(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)の日本法人として、ブログ・ソフトウェア「 Movable Type日本語版」を個人ユーザーから企業ユーザーまで幅広く提供しているほか、企業向けに機能強化した「Movable Type Enterprise」を販売しています。また、ブログ・サービス「TypePad日本語版」を自社で提供し、ニフティの「ココログ」やNTTコミュニケーションズの「ブログ人(じん)」向けにライセンス供与しています。さらに2006年10月より、個人向け無料ブログ・サービス「Vox 日本語版」を提供開始しました。米国ではこのほか、個人向けオンライン・コミュニティ「LiveJournal」を運営しています。シックス・アパート社についての詳しい情報は、企業ブログ(www.sixapart.jp)をご覧ください。

スタッフ

設計/開発/運営

沖縄県北谷町立 浜川小学校( 2007 年 3 月 1 日実施)

沖縄県南城市立 大里北小学校( 2007 年 3 月 16 日実施)

「新聞ブログ」プロジェクトに関するお問合せ

中央大学 松野良一研究室

e-mail : matsuno@fps.chuo-u.ac.jp

シックス・アパート株式会社 (広報担当 河野)

電話番号: 03-5549-2171
e-mail : pr@sixapart.jp